「財産がない」と言われるお客様…本当はどうなのか?の判断が大切

2023年8月4日投稿

お客様との相談に応じていてよく出て来る言葉が「ウチは財産が無いので…」です。
これには、慎重に対応する必要があります。多い例としてあるのが、お客様自身が”謙遜している表現”であることです。

「ウチは財産が無い」と言われる方の相続税申告を実際にやってみると、結局1億円はあったという例は少なくありません。
きっと、「(他の資産家と比べると)ウチは財産が無い」という意味なんですね。

だから、「ウチは財産が無い」という言葉を、まっ正直に信じてはなりません。エライ目に遭います。

もちろん、お客様は”謙遜している”だけですから、悪気も誤魔化す気持ちもまったくありません。むしろ、本当にそう思っているのです。

このことは、認知症対策でも同様です。財産の状況に応じて判断しなければなりません。

ところが、税理士は普段は納税のある方との顧問契約ですので、本当に財産の無い方への配慮が漏れることがあります。
財産は無いと仰っても、自宅くらいはもっていると判断してしまいます。何せ、持ち家比率は、高齢者の場合80%以上だからです。

しかし、残り20%の人が、目の前で相談しに来ているのかもしれません。だから、真面目に聞くのです。「お住まいは賃貸でしょうか?」この質問に対して「はい」と言われたら、対応の仕方は180度変わります。

もっとも、まだ正確ではありません。例えば、私は現に「賃貸物件に住んでいる」からです。私の場合は、自社の社宅に住んでいるのです。だから、持ち家みたいなものです。さらにお金持ちなら、自宅を持たずにずっとホテル暮らしをしている人だっています。
まあ、そんなレアケースは別として、アパートにお住まいなら、認知症対策の一番大変な自宅の家族信託化は不要です。

残るは、現預金です。昨日、ご相談があったのは、子どもから仕送りを受けている…とのことでした。だから預金も殆んどない。生活保護直前かもしれません。

そんな方でも、「認知症になったらどうしよう」「遠くに住む子どもから仕送りを受けているが、いざ倒れたり認知症になったらどうしよう」というお悩みは共通なのです。

そうすると、180度変わった視点を更に深堀して、もはや家族信託など不要でしょう。そこで私は社会福祉法人の「日常生活自立支援事業」をお勧めしました。

まだ認知症でなければ、契約はできます。利用料はその都度1,200円とか・・・安価で対応してくれます。
利用中に認知症になれば、社会福祉法人が成年後見制度の申請をして、さらには社会福祉法人が法定後見人を引き受けてくれることもあります。

財産の無い方にとっては、法定後見人の報酬は低額になります。このようなときにこそ、成年後見制度は利用価値があります。

https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/seikatsuhogo/chiiki-fukusi-yougo/index.html?fbclid=IwAR2ci15ixwIfU5VPDYcwc3JHDpDPKrFvXZezlV-xPspe7pzJIE-QotsvAN4

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2023年8月4日投稿