ジャニーズ事務所 M&Aの対価が猶予額を下回る場合(平成30年度改正)

ジャニーズ事務所が、被害者救済を進めるために、同社の株式を、その100%所有者であるジュリー氏がM&Aで譲渡した場合には、当然にジュリー氏の相続税の納税猶予は取り消されます。
でも、その時は、幾らで売れるでしょうか?
それは、10月2日の記者会見やその後の関係者の行動によるでしょう。

少なくとも、社名変更は避けられない様子です。そうしてスポンサー離れが止まり…それを見極めるのは数年かかるでしょうか?

そうこうしている内に、納税猶予の一番厳しい期間の5年間が経過する。この結果、一部分の株式を譲渡しても納税猶予の全額取消しが避けられ、譲渡した部分にかかる納税だけ済む。

部分的な譲渡によれない、M&Aのような場合は、より複雑になる。従来から私が指摘していた欠陥ともいうべき不合理な納税が、平成30年度税制改正で多少は改正された。

猶予税額860億円だとすると、株価は類似業種比準価額で課税価格が1900億円程度と見込まれる。
これをM&Aで売るとすると、売却価額を1000億円とすると、360億円が免除となり、残額の500億円を納付するといった計算になる。

◆ご注意:本文中の写真は、拙著『事業承継に活かす納税猶予・免除の実務(第4版)』ではなく、『非公開株式譲渡の法務・税務(第7版)』からのものです。